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20世紀代表するイタリア・モダン製作家でありますアンサルド・ポッジ。その貴重なヴァイオリン1947年製"ex-Nathan Milstein"とヴィオラ1927年製をそれぞれ国内の音楽家に納めましたのでご紹介いたします。
2021.10.07
A violin by Ansaldo Poggi 1947
"ex-Nathan Milstein"
20世紀代表するイタリアモダン製作家でありますアンサルド・ポッジ。第二次世界大戦の終結後、彼は再び故郷ボローニャにて精力的に製作に打ち込みます。しかし戦後のイタリアの経済が厳しいものだったため、本ヴァイオリンの製作された1946年から48年頃まではチューリッヒにアトリエを移していました。それを裏付ける事として、本ヴァイオリンのラベルにそれが記されております。
そのチューリヒにて彼の類稀なる才能を認めた現地のBänziger社は、彼に協力して楽器を地元で販売する事を約束しました。そのおかげもあり、彼は生計を立てる事が出来たようです。
1947年製のこのヴァイオリンは師であるフィオリーニの影響から離れ、ポッジ独自のスタイルを確立した自信に溢れた第二黄金期と呼ばれる時期の作品で、本作品はかつての巨匠、名ヴァイオリニストであったナタン・ミルシテイン(Nathan Milstein)本人が所有していたヴァイオリンです。独特の切れ長に彫られたコーナーのパフリングに、ボディからスクロールすべてが精巧で美しいつくりをしており、その音は気品と力強さを兼ね備えた素晴らしいものです。
A Viola by Ansaldo Poggi 1927
”1st Premio Concorso Nazionale Liuteria Roma 1927”
1920年代中頃、チューリッヒのフィオリーニの工房での修行を終えた後、ポッジは故郷であるボローニャに自身の工房を構えました。
若くして数々の製作コンクールに精力的に出品し、1923、25、27、29年と続けざまにメダルを獲得し、黄金期と呼ばれる時代を迎えます。
このヴィオラは通常のラベルの下に、もう1枚『1927年のローマにおける国際製作コンクールで優勝』というラベルが追加で貼られており、数少ないヴィオラの中でも特別に製作されたであろう大変貴重なものです。
フィオリーニ・スタイルによるその優美なフォルムと、ポッジならではのシャープに切り取られたf字孔からは、若きポッジの繊細な息遣いが感じられます。
※現在の使用者は有冨萌々子さんです。