日本ヴァイオリン

Antonio Stradivari 1726 "Greville, Adams, Kreisler"

アントニオ・ストラディヴァリ 1726年製 「グルヴィル、アダムス、クライスラー」

ストラディヴァリウスが1700年以降に手掛けた、通称「グランドパターン」と呼ばれる大型ヴァイオリンの中でも、特に魅力的な代表作の一つとして知られるのが、この1726年製「グルヴィル、アダムス、クライスラー」です。

その外観は、独特のチェリーとオレンジピンクがかった艶やかなニスに覆われ、見事なカエデ材を用いた2枚板の裏板が目を引きます。この特徴的な美しさは、同時期(約1725年)に製作された「アーンスト、プロテニィ」や「ポルトガル」といった名器と、ほぼ完璧なほどの類似性を見せています。

この楽器の物語は、1800年代初頭、英国貴族グルヴィル家の一人がクレモナで購入し、英国へ持ち帰ったことから始まります。その後、ジョン・ベッツの手を経て、1812年には王室御用達ピアノ製作者と推測されるウィリアム・ストッダート(記録上はストッダート大佐)に売却されました。1861年、ストッダートの息子の死に伴いジョージ・ハートが譲り受けた後、1879年にはコネチカット州のR.D.ハーレーが購入し、海を越えてアメリカへと渡ります。

1889年、アーネスト・ケンプトン・アダムスがこの楽器を手に入れ、その素晴らしさを称える論文を発表しました。彼の早すぎる死後、父であり富豪銀行家のエドワード・ディーン・アダムスを経て、1908年には伝説的なヴァイオリニスト、フリッツ・クライスラーへと受け継がれます。わずか一年余りでシカゴの楽器商リオン&ヒーリーの手に渡ることになりますが、その後、アルマ・サイプ、そして著名なヴィオラ製作者フレドリック・H・ヘイネルが所有しました。

数々の名手や収集家を魅了してきたこの「グルヴィル」は、現在は宗次コレクションに収められています。

製作地
クレモナ