日本ヴァイオリン

Antonio Stradivari 1718 "San Lorenzo"

アントニオ・ストラディヴァリ 1718年製 「サン・ロレンツォ」

ストラディヴァリウスの中でも、数世紀の時を超えてなお、その美しさを際立たせているのが、1718年製の「サン・ロレンツォ」です。このヴァイオリンの最大の特徴は、両脇の横板にニスで描かれたラテン語の文章にあります。魂柱サイドには「Gloria et divitiae(栄光と富と)」、バスバーサイドには「in domo eius(がその人の屋敷にある)」という旧約聖書の詩編からの一節がかろうじて読み取れ、これは依頼主であったイタリア貴族の家訓であったという説が残されています。

この楽器の歴史は、アントニオ・ストラディヴァリの死後、息子のフランチェスコがマウロ・ダレイ(1687-1757)に売却したことから始まります。ダレイはパルマ出身の著名なヴァイオリニスト兼作曲家であり、スペイン王フェリペ5世に仕えた後、晩年はパルマに戻り聖ジョージ騎士団の騎士となりました。彼の遺言により騎士団へ寄贈されたこのヴァイオリンは、1758年にフェルディナンド・トンデュ・マンガーニ(1713-1793)の手に渡ります。トンデュ家は織物業で財を成した名家であり、あの有名なコレクター、サラブエ伯爵からの度重なる譲渡の要望をも退け、生涯この楽器を手放しませんでした。

その後、名演奏家ジョヴァンニ・バティスタ・ヴィオッティの手を経て、第3代サン・ロレンツォ公(ロレンツォ・フェルナンデス・ヴィラヴィチェンチオ・カニャ・イ・ポルトカレーロ)に売却されたことで、現在の「サン・ロレンツォ」という愛称が定着しました。長きにわたりスペイン南部のへレス・デ・ラ・フロンテーラにある公爵の城で保管されていましたが、後にマドリッドの古物商を経て、1908年にはドイツの鉄道技師ジョージ・タルボットが購入しました。

数々の名手や収集家を魅了してきたこの歴史的なストラディヴァリウスは、2015年より日本の宗次コレクションに収められている。

製作地
クレモナ