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日本ヴァイオリンソサエティ : ヴィオラ無償貸与者募集のお知らせ Hannibal Fagnola 1905-1910

2024.08.23

日本ヴァイオリンソサエティ会員かつ楽器のオーナーである竹内真様から、新たにヴィオラ貸与の申し出がございました。

今回公募されますヴィオラは、1905〜1910年にHannibal Fagnola(アンニバル・ファニオラ)によって製作されたものです。
ファニオラは、20世紀のモダンメーカーを代表する製作家としてよく知られていますが、特に1906年に博覧会で賞を受賞してからは飛躍の時期と言われています。
この時期に好んで製作したプレッセンダのモデルのこのヴィオラは、バランスの良い繊細な音色と力強い低音を兼ね備えた、まさにヴィオラ・ソロで活躍するであろう優れた作品です。

今回この世界でも希少なヴィオラを弊社を通じて公募させていただくことになりました。
応募される方々の自己PR文、演奏動画は、一つ一つ真剣に拝読・拝見させていただきます。
皆様の想いが感じられる応募を心よりお待ちしております。

[楽器オーナー様からのご挨拶]
竹内 真 様
ビジョナル株式会社 取締役 CTO / 株式会社ツクルバ 社外取締役 / 一般社団法人日本CTO協会 理事

大学生時代にギターを手に取り、一時期はシンガーソングライターとしても活動。28歳を区切りに音楽を辞め、ビジネスの世界へ。昨今は仕事以外の活動として、昔の自分のように、経済的課題から創作活動や文化活動を断念せざるを得ない、才能の活動を応援するために、アートや音楽の領域を支える裏方として活動中。

ヴィオラに関して

僕がヴァイオリンを持ち、未来ある演奏家へ貸与しようと決めた時、僕がギター弾きだったこともあって、他の楽器の演奏家はどうしているのかな?と疑問に感じました。調べてみると、なるほど世界的に見ても弦楽器が特別高価なものが多く、楽器の良し悪しがどうしても音楽家人生を左右する場面が多いということを知りました。そして、ヴァイオリンは演奏家も多く、そのためヴァイオリンの数も多く、非常に開かれたマーケットがある反面、チェロやヴィオラはとても小さく、クローズドな世界にあることを知りました。もう少し言えば、チェロはまだしも、ヴィオラは本当に探してもなかなか良い楽器と巡り会えません。

ヴァイオリンも、チェロも、ヴィオラも、僕は等しく素晴らしい楽器だと思っていて、もう少し言えば、カルテットのハーモニーは僕の大好きなものの一つです。そのような意味でも、ヴィオラ奏者に良い楽器を貸せることができたらなと思っていたところ、ついに手に入れることが出来ました。このファニオラのヴィオラは世界に両手の指ほどの数もないような楽器ですが、ふくよかで、物語を秘めた音がします。単体でヴィオラの音を聞くのは人生で二度目だったのですが、胸に響くようなあたたかい音で、心をしっかり掴まれました。チェロはおなかにグーッと響くような、ヴァイオリンは耳というか脳に直接響くような、そしてヴィオラは胸に響くような。カルテットがどうしてあんなにも豊かな情緒を醸し出せるのか、良いヴィオラの音を、ソロで聞くことでちゃんと理解ができた気がします。

世界の人々の胸を揺さぶる音を響かせてくれるヴィオラ奏者の方に、この楽器が届くことを心から待ち望んでいます。

楽器紹介

ヴィオラ:Hnnibal Fagnola 1905-10 (胴長41.0cm)

20世紀トリノにおいて最も重要な作家であるアンニバル・ファニオラ。
ファニオラは当初、トリノのリナルディの工房にてロマーノ・マレンゴのもとで専門的な製作の訓練を受けました。そこで、グァダニーニ、プレッセンダ、ロッカというトリノの名品を目の当たりにして大きな衝撃を受け、以降それらのコピーを繰り返し製作することになります。
1906年、ファニオラの作品はミラノとジェノバの博覧会で賞を獲得し初めて公に認められました。この成功のおかげでその翌年から広い工作場を得ることができ、それは1921年まで存続することになります。
その後ファニオラは次々とその名声を世界に広めていき、1911年の国家統一15周年を記念する祝典の万国博覧会がトリノで開催された際、祝典では彼のカルテット作品(ヴァイオリン2挺、ヴィオラ、チェロ)に金メダルが授与され、彼は名実ともに最高の成功を収めるにいたりました。

当時のヴァイオリン商人アルフレッド・ヒルもイタリアを行商中に、ファニオラが将来大物になる見込みについての所見を自分の日記の中で述べているほどです。
フェニオラの名声はたちまちイギリスへと広まり、そこではプレッセンダとロッカの楽器を模して造った彼の作品が、オリジナルと勝るとも劣らないとさえと言われていました。
その飛躍の只中に製作されたこのヴィオラは、彼が最も得意とし、好んで製作したプレッセンダのモデルが用いられ、重厚かつ実用的な低音を備えています。

応募資格
ヴィオラの演奏経験がある方
※プロ、アマチュアの区別、過去のコンクール受賞歴、ヴァイオリンと持ち替えで演奏されている方もご応募頂けます。
貸与楽器
ヴィオラ : Hannibal Fagnola 1905-10
貸与期間
2024年10月から2026年10月までの2年間(実績に基づいて延長の可能性あり)
費用
無償(楽器保険料も楽器オーナー負担となります)
応募要項
① お名前
② メールアドレス
③ 年齢
④ 現在使用されているヴィオラの製作家名・年号
⑤ 自己PR(プロフィール含む400文字以内)
この楽器貸与を通しての活動、演奏家として目指す志を述べてください。
⑥ ヴィオラ演奏をしている映像(Youtubeにアップした動画の公開先リンク)
※ヴァイオリンを演奏している動画は不可となります。
⑦ 所属(楽団、音楽事務所、所属レーベル等、契約がある場合)
応募期間
2024年8月23日(金)~9月29日(日) : 書類審査 ※応募締切は9月29日23時59分(日本時間)となります。
2024年10月7日(月) : 書類審査結果発表(合格者のみにメールで通知)
2024年10月20日, 21日, 23日の中から2日を想定 : 対面式最終選考
結果通知
書類審査に合格された方にはご登録いただきましたメールアドレスへご連絡いたします。
最終審査に於いては、いずれかの候補日の中から楽器オーナー様、弊社との面談をさせていただく予定です。

お申し込み

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