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ニコロ・アマティ 1677年製作 3/4ヴァイオリンをご紹介いたします。

2022.09.12

Nicolo Amati 1677 3/4Violin Cremona Italy
ニコロ・アマティ 1677年製作 3/4ヴァイオリン

アンドレア・アマティによってヴァイオリン製作の歴史が始まってから100年経った頃、製作技術はある意味高みに達し、ニコロ・アマティとその弟子達の下で完成をみることになります。彼らがニコロの工房で働いていたという明確な記録はありませんが、フランチェスコ・ルジェリ、アントニオ・ストラディヴァリ、G・B・ロジェリ、ヤコブ・シュタイナーといった偉大な作家達は明確にニコロのスタイルを模倣、研究し、ヴァイオリン製作の礎を築きました。

1677年製と記された、ニコロ・アマティという巨匠自身の製作によるこの愛らしいヴァイオリンは子供用ヴァイオリンの例で、胴体の長さは330mmであり、現代においては3/4サイズに相当します。

表板は、均一な杢目のスプルースに、裏板は曇り空を思わせるスラブカットの美しい一枚板により製作され、バーズアイと言われる杢目を持っています。深みのあるオレンジゴールドのニスを纏っています。

スクロール注意深くエレガントに造形され、楽器全体にわたって精緻に卓越したセンスで製作されており、ニコロ・アマティの豊かなキャラクターが顕現しています。

その音は非常にパワフルな実力に、深く甘い繊細な音色を備えています。

300年前の当時、ヴァイオリンの演奏技術は基礎的なレベルでしかなく、演奏の機会は、裕福な家庭相手に限られ、子供にレッスンを施すなど珍しいことでした。ヴァイオリン製作の歴史が始まって間もない頃にイタリアの巨匠によって作られた小さな楽器が、年月を経て現存しており、このことから、自分の子供にヴァイオリンを学ばせようとした親達がいたことがわかります。非常に興味深い情報として、1830年頃から10年間のうちに幅広い地域で名声を得た2人の兄弟が、演奏会でこのヴァイオリンを弾いたという記録が残っています。

ドイツのコブルクに住むアイヒホルン兄弟として伝えられるこの兄弟は、他の2人の兄弟と共に、父親から音楽家になるべく訓練を受けました。ここで話題となるアイヒホルン兄弟とは、ヴァイオリニストのエルンスト(1822-1844)とエドゥアルト(1824-1897)であり、他の2人の兄弟に、チェロ奏者兼ハープ奏者のアルブレヒトと、末っ子で長年コブルクで音楽監督を務めたアレクサンダーがいます。

この若い2人がヴァイオリニストとして成功したのは父親のお陰であると言われており、父親は2人を連れて広域を旅し、当時発明されたばかりのバスホルンのソロ演奏で、息子達と共演したりしました。父親の名前が記述されたものは無く、ただ、若い芸術家の父親としてのみ記録が残っています。

良質の紙に優れた活版印刷を施した1830年のプログラムは、現在でも配布当時の鮮明さを保っています。

1834年にロンドンで行われたいくつかのコンサートのプログラムに、アイヒホルン兄弟の名が記されています。「賢い子供達。兄でさえまだ12歳にして、兄弟はイングランド王、ババリア王、ヴィルテンベルク王、フランス王の面前で演奏する名誉を与えられ、王から直々に十字架の勲章を与えられた。」また、別のプログラムでは「ルイ・シュポーアによる推薦文の翻訳があり、『すばらしい音楽の才能を持つアイヒホルン兄弟に音楽愛好家の注目を集めるのが私の義務であると私は考える。新聞等によって彼らへの私の期待はかなり膨らんでいたが、実際の演奏は、期待を大きく上回るものだった。正確さと透明感のある音色を持って、この少年達は最も難しい楽器(ヴァイオリン)を弾きこなしていた。私は喜んで告白しよう。音楽の才能がこんなにも若いうちに開花できるなど、私は今まで思っていなかった。』」1832年4月24日、カッセルにて、ルイ・シュポーアによる署名。

「奇跡の子供達」の時代は年を経て過ぎ去り、兄弟はコブルク・ゴータ王立管弦楽団のメンバーとなりました。当ヴァイオリンは、1897年8月3日にエドゥアルト・アイヒホルンが亡くなった後も、当家に所有されていました。それからだいぶ時が流れた1910年になって、エドゥアルトの息子、ヘルマン・アイヒホルンが、何人かのドイツ人専門家に当器の調査と評価を依頼しました。

1943年、このヴァイオリンはアメリカ屈指の楽器商であるシカゴのリーヴァイス&サンのコレクションに加えられ、ニコロ・アマティによる特殊性の高いヴァイオリンとして保存されていました。近年になり、ジャック・ソニーズ夫妻が娘のバーバラのために購入しました。バーバラは才能にあふれ、シカゴの有名なヴァイオリン教師、ジョージ・パールマンに師事していました。

製作地
イタリア クレモナ
カテゴリ
オールド

楽器詳細

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