日本ヴァイオリン

Gennaro Gagliano, Naples, c.1740

ジェンナーロ・ガリアーノ 1740年頃製作

18世紀ナポリ派を代表する製作家の一人、ジェンナーロ・ガリアーノ(1705年頃–1790年頃)によるヴァイオリンです。
ナポリ派の礎を築いたアレッサンドロ・ガリアーノの息子であるジェンナーロは、兄ニコロとともに、ガリアーノ一族を代表する製作家として高く評価されています。兄ニコロがナポリ派の様式形成に重要な役割を果たした一方、ジェンナーロはアマティやストラディヴァリのモデルを取り入れ、クレモナの伝統とナポリ独自の感性を融合させた作風を発展させました。
1740年頃に製作された本作には、そうした様式的特徴がよく表れています。優美な輪郭と繊細な曲線を描くF字孔にはアマティの影響が感じられ、精緻なパフリングや均整の取れたアーチにも、細部にまで行き届いた製作技術がうかがえます。
表板には一枚板のスプルース、裏板には美しい杢を持つ二枚板のメイプルが用いられています。黄金色の下地に重なる深みのあるオレンジレッドのニスは、メイプルの杢や木肌の表情を豊かに引き立て、18世紀イタリアの楽器らしい風格を感じさせます。
音色は、きめ細やかな反応と繊細な表現力を備えながら、芯のある張りと力強さを併せ持っています。鮮明で輪郭のはっきりとした響きは、豊かな存在感を放つ一方、奏者の細やかなニュアンスにも応え、幅広い音楽表現を可能にします。
クレモナの伝統に根ざした優雅な造形と、ナポリ派ならではの個性が調和した本作は、ジェンナーロ・ガリアーノの洗練された作風と芸術性を今に伝えるヴァイオリンです。

製作地
イタリア ナポリ
カテゴリ
オールド