日本ヴァイオリン

Pietro Guarneri c.1750

1750年頃製 ピエトロ・グァルネリ

ピエトロ・グァルネリはグァルネリ家最後の名工として知られる存在です。1695年4月14日にクレモナに生まれ、父は名工ジュゼッペ・ジョヴァンニ・バティスタ・グァルネリ(filius Andreae)であり、同名で親族の別人である叔父ピエトロ(Pietro da Mantova)と区別するため、彼は一般に「ピエトロ・ダ・ヴェネツィア(Pietro da Venezia)」 と呼ばれています。

本楽器は1750年頃に製作されたヴァイオリンで、ピエトロの円熟した後期作に位置づけられる重要な作品です。

1710年代後半にクレモナを離れ、ヴェネツィアに定住した彼は、クレモナ派譲りの堅牢な構築力を基盤としながら、当地の自由な美意識と実用性を積極的に取り込み、独自の作風を完成させていきました。1750年前後は、その様式が十分に成熟し、安定と個性が高い次元で両立した時期といえます。

アウトラインは端正で均整が取れ、クレモナの正統性を感じさせる一方、エッジワークやパーフリングには過度な均質さを避けた力強い手仕事の表情が残され、生命感と表現力を重視するヴェネツィア的感性が明確に表れています。

ニスは黄味を帯びたグラウンドの上に、深みのある赤褐色が重ねられ、経年によって生まれた透明感と奥行きのある質感が、光の角度によって豊かな表情を見せます。

音色は明確な芯と十分な厚みを備え、豊かな倍音とともに力強くホールを満たす、円熟期ならではの完成度を誇ります。近年では名ヴァイオリニスト イツァーク・パールマン によって愛用されてきたことでも知られています。

クレモナの構築美と、ヴェネツィアの色彩感覚・実用性が高次元で結実した、ピエトロ・グァルネリ後期を代表する逸品です。

製作地
イタリア ヴェネチア
カテゴリ
オールド