Giuseppe Antonio Rocca 1854 "Ex-Leonidas Kavakos"
ジュゼッペ・アントニオ・ロッカ1854年製 "Ex-Leonidas Kavakos”
ジュゼッペ・アントニオ・ロッカは1807年、ピエモンテ州アルバ近郊のランゲ丘陵にある小さな村、バルバレスコに生まれました。
当初はジェノヴァにて木工技術を学び、のちにトリノに移住して本格的に弦楽器製作を始めました。ここでG・F・プレッセンダ(1777–1854)の影響を受け、彼の工房で修業したと伝えられています。その後1842年頃には自身の工房を構えます。この時期、ロッカはすでに高い技術を持っており、トリノ王立音楽院や王立管弦楽団の演奏家たちの注文を受け始めました。また、ルイジ・タリシオとの親交を通じてストラディヴァリおよびグァルネリ・デル・ジェズの名器に触れる機会を得て、彼独自のモデルの研究を深めます。
1840年代後半のロッカは、ニスの品質・彫刻の力強さ・音響設計の完成度において急速に発展させ、1850年代にはトリノ時代の円熟を経て製作技術・審美眼・音響設計すべてが頂点に達した時期でした。1850年頃からジェノヴァとトリノを往復しながら製作を行います。
1850年代半ばには、トリノ博覧会など国際的な展示会への出品・受賞を通じて、その名はイタリア国内外に知られるようになりました。
今回国内のお客様へ販売させて頂いた1854年製のロッカは、ストラディヴァリと肩を並べる18世紀の巨匠Guarneri delGesu 1742 “Alard”をモデルに製作され、ロッカの残した作品の中でも極めて希少なモデルとなります。また現代最高のヴァイオリニストと称される、レオニダス・カヴァコス氏が長年所有し、彼の所有するストラディヴァリと使い分けながら、多くのオーケストラとの共演でロッカを演奏してきました。カヴァコスのレターには、「very powerful warm sound in the direction of delGesu」と”デルジェスの方向性を持つ、非常に力強く温かみのある音色”と高く評価しています。



