Gennaro Gagliano 1765
ジェナーロ・ガリアーノ1765年製
アレッサンドロ・ガリアノの2人の息子ニコロとジェナーロは、ガリアノ・ファミリーの中で最も優れたメーカーと言われています。
兄のニコラがその後連綿と続くナポリスクールのスタンダードを築き上げた人物であるのに対して、弟のジェナーロの作品はより独創的な作風であり、才能に溢れた洗練された個性を持っています。
ジェナーロは直接の弟子は取りませんでしたが、唯一甥のフェルディナンドを教えたことは知られており、その生涯に240挺以上の楽器を製作したと言われています。
ジェナーロは父アレッサンドロが用いたデザインよりも、アマティとストラディヴァリのスタイルを率先して取り入れており、特に1750年以後はストラディヴァリの型を多く用いるようになりました。
1765年製のこのヴァイオリンは均整のとれたストラディヴァリのアウトラインに、アマティのグランドパターンにも通じる繊細で有機的なアーチを備えています。その音質は密度を保ったまま大ホールの空間を満たす力強さと深さがあり、極めて実用性の高い逸品です。