日本ヴァイオリン

Annibale Fagnola 1928

1928年製アンニバル・ファニオラ

1865年8人兄弟の長男としてイタリア ピエモンテ州モンティリオ・モンフェッラートで育った彼は1820年代に偉大な先人ジュゼッペ・ロッカが行っていたように、パン職人として働きはじめました。
1894年トリノに移り住んだ当初はパン職人としての職業を続けたが、すぐに独立したアマチュアとしてバイオリン製作を始めたと思われ、ほとんどの専門家は彼の最初の楽器が1897年頃のものであると意見が一致しています。
彼は当時イタリアで一般的であった徒弟制度を踏襲せず32歳という年齢から製作を始めましたが、トリノの同世代の誰よりも大きな成功を収めました。
ヴァイオリン製作は主に独学でしたが、 同世代のロマーノ・マレンゴ=リナルディや、商人で収集家の オラツィオ・ロジェーロから専門的なアドバイスを受けたと思われます。
ファニョーラのキャリアの初期の時期について はほとんど知られておらず、一般的にプレセンダの1820年代後半の初期のストラディヴァリウスモデルの影響を強く受けた作品が多く見られます。1910年代初頭までに彼のいくつかの作品はジュゼッペ ロッカの作品と改名される程の高いレベルに到達します。
この頃から、自身の作品の内部、上部横板に直筆のサインを入れるようになりました。
その後、第一次世界大戦やスペイン風邪を乗り越えた1920年代初頭から、彼はプレッセンダの後期の作品のコピーを始めその複製ラベルを自分のラベルのすぐ下に貼り始めました。
彼のキャリアの円熟期に製作された本作品はそんなプレセンダの影響を色濃く受けたファニオラの典型的な特徴が見て取れる逸品です。
下部の横板にまで掘り込まれた黒檀のサドル、エンドボタンの上下に下部横板を垂直に通るパフリング、縁を黒く塗られたスクロール、厚く塗られた豊かで透明なニス、美しく印象的なメープル材などがあげられます。
高音の美しい透明感と低音の豊かな音色を兼ね備えた非常にバランスの良い楽器です。

製作地
イタリア トリノ
カテゴリ
モダン