Giuseppe Antonio Rocca c1855
ジュゼッペ・アントニオ・ロッカ c1855年製
ジュゼッペ・ロッカは19世紀イタリアのヴァイオリン製作者の中でも最高峰に位置付けられています。
1834年にトリノに拠点に、名工プレッセンダ(1777-1854)の工房で学んだ後、自身の工房を構えます。
特に1840年以降はクオリティの高い見事なヴァイオリンを製作し、トリノとジェノヴァのエキシビジョンでは数々の賞を受賞し大きな注目を浴びました。
歴史的なコレクターであり、ディーラーであったルイジ・タリシオと親交があり、タリシオのコレクションとして知られる名器ストラディヴァリウス1716年製作 ”メシア”に出会うと、それ以降、ストラディヴァリウスに影響を受け続け、研究を重ねながら独自のスタイルを完成させていきました。
ロッカの高い音響性能への追求は類を見ず、そのこだわりは材質選びにも特徴が現れています。
ジュゼッペ・ロッカの黄金期は1840年代、50年代と言われており、所有する著名な音楽家にはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスター、アルバン・ベルク弦楽四重奏団の第一ヴァイオリン奏者などをを歴任したヴァイオリニスト、ギュンター・ピヒラーも黄金期のロッカをメインの楽器として現在も演奏しています。
今回のジュゼッペ・ロッカはまさにその黄金期の集大成ともいえる1855年頃に製作され、終生製作し続けたストラディヴァリウス “メシア”のパターンにより製作されています。
また、1974年にWilliam Moennig & Son社(当時の米国最大の楽器商社)が発行した証明書の中には、ロッカ自身が音響性能が高い材を裏板に選択したと書かれていることから、こだわり抜いた楓材が裏板に使われているのもユニークな特徴です。
その音は芯のある十分な音量に加え、歴史を感じる奥深い音色を備えており、国際的に活躍するソリストの高い要求を満たします。