Vincenzo Postiglione 1910-15
ヴィンチェンツォ・ポスティリオーネ 1910-15製作
19世紀後半ガリアーノ・ファミリーの後のナポリにおける最高のメーカーの一人と言われているヴィンチェンツォ・ポスティリオーネ。
ポスティリオーネは1831年にナポリに生まれ、16歳のころからヴァイオリン製作をヴィンチェンツォ・イオリオから訓練を受けます。
1849年にイオリオは亡くなりますが、その後も精力的に製作を続け、1855年にはナポリに自身の工房を構えます。
貪欲にガリアーノ、グァダニーニやストラディヴァリウスのモデルを取り入れ、洗練された独自のポスティリオーネ・スタイルを確立しました。
脈々と続く伝統的なイタリアのヴァイオリン製作に関する驚くべき知識と技術を持っていたと言われており、たちまちナポリにおける最も影響力のある弦楽器製作者になりました。
1892年には優秀なアシスタントであるアルフレッド・コンティーノを雇入れ、亡くなる直前まで製作を続けます。
その生涯に400挺を超えるヴァイオリンと多くのヴィオラ、チェロを製作しました。
奥深く豊かな音色とパワーの両立を叶えたそれらの作品は、今日の多くの演奏家に高く評価され、愛用されています。
彼の息子に工房を引継いだ1910年頃、最晩年におけるこの作品は円熟したポスティリオーネ独自のユニークなキャラクターの顕現と、ニスの美しさもさることながらその実力は例外に漏れず、高音の華やかな伸び音と低弦からの奥深いまるでオールドヴァイオリンのような音色を備えており、ソリスト向きの傑作と言えるでしょう。