日本ヴァイオリン

Antonio Stradivari 1717 "Hamma"

アントニオ・ストラディヴァリ 1717年製 「ハンマ」

ストラディヴァリウスの「黄金期」を代表する傑作の一つとして知られるのが、この1717年製「ハンマ」です。その名は、1864年にドイツ・シュトゥットガルトに工房を開いた名門ヴァイオリン商、ハンマ&カンパニーの創業者であり、優れた職人かつ熱心なコレクターでもあったフリドリン・ハンマ(1818-1892)に由来します。

ハンマ&カンパニーのコレクションには、「ソイル」や「エンペラー」といった歴史的なストラディヴァリウスが名を連ねていましたが、中には同じ「ハンマ」の名で親しまれた楽器も存在し、その歴史は複雑です。さらに、1944年の空襲により工房と共に多くの記録が失われたため、その詳細な来歴の一部を辿ることは困難となっていますが、楽器自体は奇跡的にその美しさを留めています。

外観は、まさに黄金期の素晴らしさを体現しています。美しい柾目のカエデ材を使用した2枚の裏板には、中心から緩やかに下る中幅のフレーム(杢目)が際立ち、黄金色のベースに鮮やかなオレンジブラウンのニスが施されています。

その音色は、世界的な演奏家たちを魅了してきました。アルバン・ベルク弦楽四重奏団で長年第一ヴァイオリンを務めたギュンター・ピヒラーは、この楽器を「まさに天使の声」と評し、「どんなに大きなホールをも埋め尽くす偉大なるパワーを持っている」と絶賛しています。また、現代の名匠マキシム・ヴェンゲーロフも2016年から2017年にかけてのリサイタルや録音で使用しており、その深遠な響きを多くの聴衆に届けました。

現在はプライベートコレクションとして、大切に保管されています。

製作地
クレモナ