日本ヴァイオリン

Marino Capicchioni 1960

マリノ・カピキオーニ1960年製

1895年、カピキオーニはサンマリノ共和国のサンタ・ムスティオラで生まれました。
当初は地元の大工のアシスタントとして働き、19歳でフランスに移りギター製造工場で働きますが、一年後には故郷に戻り、この時からヴァイオリン製作に打ち込み24歳の時に初めてヴァイオリンを完成させます。
1929年以降はリミニに定住し、1932年以降イタリア全土で数多くの博覧会やコンクールに参加し、瞬く間にその才能が認められ称賛されます。彼の作品はクレモナ、ローマ、パドヴァ、そしてフォルリで金メダルを獲得し、その作りの優雅さと優れた音質によってカルテット・イタリアーノのフランコ・ロッシ、ピナ・カルミレッリ、サルヴァトーレ・アッカルドなどの重要な演奏家によって当時から高く評価されていました。1940年代半ばから、マリノは彼の息子マリオと一緒に働き始め、マリオは1977年マリノの死まで彼のビジネスを共有し、その後引き継ぎました。
これまでにカピキオーニのヴァイオリンはユーディ・メニューイン、ダヴィッド・オイストラフ、イーゴリ・オイストラフ、チェロはムスティスラフ・ロストロポーヴィチといった名だたる演奏家達に所有、愛用されています。
故郷であるサンマリノ共和国にはマリノ・カピキオーニの名誉を称えて、その名を冠する広場が設けられるとともに、彫刻家マリーナ・ブジニャーニ・レフィ作の記念碑が建立されています。また彼のカルテット作品の1つは、クレモナのストラディヴァリ博物館に常設展示されています。
 黄金期の只中の1960年におけるこの作品は、深いゴールデンイエローの下地に透き通った鮮やかな赤いニスを纏い、際立った技量を示すモデリングと上品なシェーディングにより堂々たる風格を持っています。
その音は、華やかに太く空間に響き渡る密度の高さに、反応のいい軽さと深い陰影のある音色を併せ持った傑作です。

製作地
イタリア リミニ
カテゴリ
モダン