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日本ヴァイオリンソサエティ : ヴァイオリン2挺 無償貸与者公募のお知らせ J.B. Vuillaume 1872年製及びH. Fagnola 1923年製

2024.02.19

この度、貸与ご提供されます貴重なヴァイオリン2挺のヴァイオリンの紹介をいたします。
1挺は19世紀のフランス・パリにおいて最も重要な製作家であるJean Baptiste Vuillaume。特に晩年の1872年に製作されたこのヴァイオリンは、彼の生涯の研究の集大成とも言える完璧なストラディヴァリウスのモデルです。
また、もう1挺は20世紀のモダンイタリーの代表格であるHannnibal Fagnola(アンニバル・ファニオラ)。その中でもパワーのあるオーソドックスなPressendaモデルの1923年製の逸品です。
どちらもコンクールやコンサートにおいて、ソリストや演奏家が欲するパワー、音色など全てを高いレベルで備え持つ逸品です。
貸与者の今後の音楽活動の中で役に立ってくれると信じておりますので、2月19日からのご応募をお待ちしております。

[楽器オーナー様からのご挨拶]

福原グループは、資生堂の創業者・福原有信が1921年設立した福原合名会社を起源とし、不動産・保険・施設管理・飲食業など多岐にわたるビジネスを展開しています。この度、所有しているヴァイオリン2挺について、貸与をすることを決定いたしました。

今回、貸与するヴァイオリンはJean Baptiste Vuillaume(1872)とHannibal Fagnola(1923)です。この2つは、それぞれフランスとイタリアの名器とされていますが、作られた年は私たちにとって非常に縁深いものがあります。

私たちが100年以上籍を置く銀座という街は、これまで壊滅的な危機が3回あったといいます。明治の大火(1872年)、関東大震災(1923年)、そして東京大空襲(1945年)で3度も銀座は焼け野原と化してしまいましたが、いずれの危機の後も当時の若者が中心となり見事な復興を遂げています。我々のルーツである資生堂も、まさにその復興の中心にいた企業の一つでした。また、資生堂は1919年につくられた資生堂ギャラリーの活動をはじめとして、数々の芸術家の方々とのご縁をいただいてきたことが、その発展に大きく影響されていると考えております。

そのような背景の中で、1872年・1923年という私たちにとって特別な年に作られたヴァイオリンを、関東大震災から100年という節目に、次世代の芸術文化を牽引する若手アーティストへの支援として無償貸与を行うことにいたしました。私たち福原グループは創業者の精神を受け継ぎ、銀座が世界に誇れる街を目指す中で、世界を目指すアーティストの方と想いを共に活動をしていきたいと願っております。

2023年12月
福原グループ

楽器紹介

Jean Baptiste Vuillaume 1872年製作

19世紀パリにおいて最も重要な製作家であるJ.B.ヴィヨーム。
1800年代の当時にあっても、多くの演奏家が現代の作品よりも古いイタリアの楽器を支持していた時代、綿密にストラディヴァリウス、グァルネリウスを研究し模倣を重ね、そのニーズを満たす優れたコピーを数多く残しました。その音作りへの探究心は留まることを知らず、生涯を通じてより良い作品のために様々な試行錯誤を繰り返しました。
1851年ロンドンの万国博覧会では、二つのカルテット作品と巨大なオクトバスを製作し、評議会メダルを受賞します。
1860 年にはドゥムール・テルヌ通りのより広い敷地に移転し、より多くの優れたアシスタントを雇いました。この時期の作家達が後にミルクール、ミッテンヴァルトにおいて量産体制の礎を築くことになります。
その後にフランス政府が彼にレジオンドヌール勲章を授与したことによって世間の賞賛の頂点にあった最中、1875年に彼はこの世を去ります。
晩年の1872年に製作されたこの作品は、彼の生涯の研究の集大成とも言える作品で、誇張のない完璧なストラディヴァリウスのモデルですが、f孔とその近くフラットなアーチからはヴィヨーム独自のスタイルが窺えます。その音色は輝かしくも深みがあり、大ホールにおける演奏家のニーズを遍く満たしています。

Hannibal Fagnola 1923年製 ”Giovanni Francesco Pressenda 1827 model”

ファニオラは、イタリア・トリノを代表的な製作家です。1906年ミラノ博覧会で銀メダル、そしてジェノヴァの博覧会では金メダルを受賞して以降、各地で賞を獲得し、瞬く間に世界中の有名ディーラーに求められる人気製作家となりました。ファニオラは主にプレッセンダ、ロッカ、グァダニーニの3つの偉大な製作者をモデルにしていましたが、1923年製のこのヴァイオリンはファニオラの代表的なモデルとされているプレッセンダ (19世紀前半を代表する製作家の1人)をモデルに製作され、f字孔から中を覗くとファニオラ本人のラベルの下にプレッセンダのラベルが貼られています。ニスは美しい透明感が際立つレディッシュブラウンが目を惹きます。
また1923年という年はファニオラの生涯の中で最も精力的にクオリティの高い楽器を生み出したとされる「黄金期」に製作された希少な作品です。
パワフルな音量かつ黄金期のファニオラらしい柔軟性のある音色はソリストを力強くサポートします。

応募資格
ヴァイオリンの演奏経験がある国内在住の方
※プロ、アマチュアの区別は問いませんが、特定の事務所・レーベルに属している方は事前にお知らせください。
貸与楽器
ヴァイオリン : Jean Baptiste Vuillaume 1872
ヴァイオリン : Hannibal Fagnola 1923
貸与期間
2024年4月から2026年3月までの2年間(実績に基づいて延長の可能性あり)
費用
無償(楽器保険料も楽器オーナー負担となります)
応募要項(下記リンクのお申し込みフォームにご記入ください。)
  • ① お名前
  • ② メールアドレス
  • ③ 年齢
  • ④ 貸与を希望される楽器
  • ⑤ 現在使用されている楽器とその年号
  • ⑥ 自己PR(プロフィール含む400文字以内)
    この楽器貸与を通して演奏家としての活躍を目指す志や思いを述べてください。
  • ⑦ 所属(音楽事務所、所属レーベル等、契約がある場合)
応募期間
2024年2月19日(月)~3月11日(月) : 書類審査 ※応募締切は3月11日23時59分(日本時間)となります。
2024年3月26日(火) : 書類審査結果発表(合格者のみにメールで通知)
2024年4月1日(月)または4月3日(水) : Hannibal Fagnola 対面式最終選考
2024年4月1日(月)または4月4日(木) : Jean Baptiste Vuillaume 対面式最終選考
2024年4月8日(月) : 結果発表
結果通知
書類審査に合格された方にはご登録いただきましたメールアドレスへご連絡いたします。
最終審査に於いては、いずれかの候補日の中から楽器オーナー様、弊社との面談をさせていただく予定です。

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